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甘い [詩など]

夜風に混じる花の香が淡くなり
肌寒さを感じはじめる頃
思いだそうとすれば思い出せるけど
極力思い出したく無い事柄が
花の香に誘われて
昨日のようにありありと蘇り
私を困惑させる
辛いのに、辛いのに

両手で体を抱きしめて耐えるように下を向く
甘い香は毒のように
甘い香は悲しみのように
私を蝕んでいく

夜だけ
ちょっと気弱になった時だけ
蝕んでいく

朝になるまで堪えようか
朝日に溶けるように全て霧散してゆく苦しみを

今だけ甘い香と甘い毒を飲み干して

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知らない花 [詩など]

散歩に出て、知らない花が沢山あってちょっと凹みました。
もっと知ってると思っていました。でもむやみに触らないということだけは頭にありました。調べて見たら毒草でした。危ない危ない。
でも、携帯でその花を調べたのですがやっぱり図鑑がいいな。
でも図鑑も載ってなかったりもするしなあ。難しい。本当に調べたいならもっと載ってるのを携帯しないと。でもそれは難しくて結局スマホアプリになっちゃうのかな。
簡単なんだけど、なんだかな。
とりあえず、アケビは見つけたし、ムカゴも見つけました。今度収穫して来よう。それはちょっと楽しみです。もっと食べれる植物さがそっかな。うん。
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無題 [詩など]

駆け出した素足に絡み付く誰かの溜息
切り裂いてゆく誰かの思惑

小さな窮屈な箱の中に
納めようとしていた自分自身
忘れかけていた楔
貼付けられたレッテル
それが普通だと思い込んでいた今
取り除くのは難しく
箱は窮屈なんだと気付いた

全てを急に無くすことは出来ない
自分が何を望むのか
何を人に望むのか
散らばった欠片をかき集めて形作る
私を

駆け抜ける爽快さをもう一度感じたい

手足を伸ばして大地を蹴って



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想い [詩など]

両手からこぼれ出した
抱えている想いはどこまで流れるのか
少しずつ減って
もうここには一握りしか残らない
虚になった私の心と
身軽になった私の心
どちらを思うか
どちらも持つのか
詰め込み過ぎた想いを流して
歩き出した先に
何を得ることができるだろうか

想いは力
想いは夢
想いは重荷
想いはしがらみ

想いは・・・

過去から未来への切符
そして
私が私であるための力
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またいつか [詩など]

アジサイが咲く小路を
あなた並んで歩きたかった
雨が細々と降る中
肩を寄せ合い
歩きたかった

願いは叶うことなく
あなたはいない
涙と同じく乾いた小路を
涙色の花に囲まれて

あなたは幸せだったのか
問い掛ける先に答える声はなく
虚ろな心に
梅雨の晴れ間が痛い

願うことができるなら
虹の橋を渡り貴方の幸せを
ヒマワリのような笑顔を
またいつか

私でなくなっていても
もう一度
巡り会えますように


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命の最初と終わりと [詩など]

すでに稲の植えられた水田。
その横に黄金色の麦がそよいでいる。
風が吹くと緑と金が波立つ。
ザワリと誰かの気配がする。
振り返っても誰もいない。
見えないだけでいるのだが。
山から下りてきた神様が。
風が囁く、声でない気配だけを残し。
生きていくんだよ、命が巡るんだよ、と。
背中を押された気がした。

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闇蛍 [詩など]

蛍が飛びはじめるのか?ほたるぶくろの花がついた。
私は一つ手折るとくらい川へ向かう。
蛙の鳴き声がして螻の声もする。
風に甘い香が混ざり、初夏の夜風が頬を撫でる。
つうっと小さな光が目の前を横切り咄嗟に手を出した。
蛍とおぼしきものを捕まえようとした。
けれどそれは指先をすり抜け闇の中へと姿を消して行く。
捕まえられないことに苛立ちむきになって追いかけた。
闇の中に光る球。これが本当に蛍なのかもわからないままに。
足元も闇、後ろも、横も。前にある仄かな光だけ。
気がつけばどこにいるのか分からない。自分の後ろでガサガサと追いかける音がする。
逃げなければ、なにから?音から?
光はどこだ?
今は何時だ?
私はどこだ?私は誰だ?
『早すぎる蛍は追いかけたらだめだよ。あれは若い魂さ。悪戯ずきで闇に捕われるよ。』
誰かが言っていた。そうこれは蛍ではない。捕われた私の魂。そして後ろの音も私。
永遠の闇に捕われた、わたしたちの魂。
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夜の匂い [詩など]

夜には夜の匂いがある
肌を刺す冷たい空気から
すこしだけ柔らかくなった
春の匂いが混じる
説明は難しいけれど
確かに春なんだ
ぼんやりとした月を眺めて
花の香の場所を探す
夜の匂いは甘い
夜の匂いは哀しい
つかの間の夢を見るように
夜の匂いを吸い込む
季節が移ろう

夜の匂いは楽しい
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無題 [詩など]

夜明け前
それはそれは綺麗な月を見た

眠れない夜が続く
どうしていいかわからなくてとりあえず眠らない
本を読む
お茶を飲む
テレビを見る
ふとんに入る

でも、
眠れなくて、眠らない

星を眺めて、降る雪を眺めて、人の明かりを眺めて
一晩を過ごす

辛いわけでなく、ただ眠れない
ドキドキするんだ
ワクワクするんだ
何かが起きる気がして

夜の闇は何かが生まれそうで
でも明け方にそれは美しい三日月の
山の端の薄明かりの少し上のか細くて鮮烈な光を見て
なぜか安心をしてふとんに入る

そして眠りに落ちるのだ
あの月を夢見ながら
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無題 [詩など]

手を伸ばして空を掻く
苦しいことから
なんとか抜け出したくて
爪のかかる場所を
必死で探して

けれど夢の中の私の手は
何を掴むこともできず
ただ苦しいあぶくを吐くだけで

私は優しくない
私は勇敢でもない
私は臆病で、見栄っ張りで、嫉妬深い
全部知っている
わかっているんだ

それでも生きねばならない
砂を喰んでも、地べたにはいつくばっても
醜い自分を見ていても
立つことがもう無理になっても
生きねばならない

それが生きることだから

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