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確認 [雑文 つぶやき]

後ろを振り返ると、そこは完全に闇だった。
普段通りなれた道。けれど普段は後続車があるから気にならなかったけれど、山の中を通る道は闇が深い。
春特有の匂いがして、少し柔らかくなった空気が頬を撫でる。
道を覆うように張り出した桜の木がある。
白くぼんやりとライトの中に浮かび上がる。
風が吹いているにもかかわらず、散らない。微動だにしないのだ。
桜のしたを通過する間に夢を見た。
まどろむ着物の女性。長い髪が幹で白い着物が花。
手を伸ばして着物を掴もうとした瞬間、目を覚ました女性と目が合った。
気がつくと桜のしたは通りすぎた後だった。
振り返ると濃い闇はライトで掻き消され、桜は風に揺れていた。
けれどもうこの道は使えない。
あの瞬間に聞こえた声が耳に残るから。
「憶えている」
何を?誰を?
確認するには恐すぎる。
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