超耐性菌 マット・マッカーシー [本 作者ま行]
超耐性菌。なんともまあ物騒な名前だと思う。けれどそれは大げさな名前などではない。
医療技術は進歩した。そして薬も。ペニシリンをはじめ、抗生物質というものは私が子供の頃からすでにあったものだから、抗菌薬のない時代なんて思いもつかない。抗菌薬さえ打てば、かなり簡単にいろいろと治ってくる。調子がわるくなったら病院へ行って、注射を打ってもらえば治るっていうのがイメージだ。様々な感染症に効く。けれど、多用し必要もないのに使い続けたりすると、その薬にたいして耐性のついた菌が出てくる。それらがこの本にある超耐性菌。多剤耐性菌である。
その多剤耐性菌にも打ち勝つ成分をどこから見つけてくるのか。そしてそれが使えるようになるにはどういう手順を踏むのか。
アメリカの病院で筆者は医師として働いている。そこに運び込まれてくる患者に対して、どうやって治療をするのか。新しい薬はどうなるのか。新しい抗菌剤ダルバの実用化を目指して治験を始めようとするのだが…。
ノンフィクションです。最近ちょっと病院を行き来することが多く、そこでいろいろ考えさせられることがありました。で気になってしまって。たしかにいままでは治ったのに、薬が効きにくくなってということはあります。けれど、普段は病院へも行かないし、そんな怪我や病気ばっかりするわけでもないから、気にならないけれど。そういう人ばかりを扱う現場だとしたらどうだろう。効かない薬があるというのはすごく怖いことだと思う。この薬剤耐性菌と戦っている研究者や医者の話。入門編みたいな感じ。
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