鴨川食堂 柏井壽 [本 作者か行]
誰にだって思い出の食事があって、その味を追い求めるときがあるのかもしれない。
私の思い出の味はなんだろう。もう一度食べてみたいといえば大神楽といっしょにまわっていた屋台の飴。そんな思い出の味を探してくれる食堂が、鴨川食堂。
料理雑誌の一行広告で縁が繋がる人だけが訪れる。色々な食を頼まれるけれどきちんと探してくれる。ちょっとできすぎな気もあるけど。美味しそうです。
思い出の食事って思い出がスパイスだから、同じであって同じではないと思う。
それでも探して再現してもらえたらそりゃあいいだろうな。でもなんでだろう。しっくりこない。面白いんだけどね。なんかスルスル進みすぎなのかな。
軽く読むにはいいと思います。
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ことり屋おけい探鳥双紙 梶よう子 [本 作者か行]
おけいは行方不明の主人、羽吉の代わりにことり屋を守っている。九官鳥の月丸と共に。
羽吉はおけいを置いて胸元が青く光る鷺を探しに3年前に出て行ったのだ。店を守るおけいのところに鳥の絡んだ事件が舞い込む。
鳥を購っては放鳥する娘、文をやり取りする鳩。名前を呼ぶオウム。そしておけいはいつまで一人でいるのか。そして羽吉の行方は?
おもしろいんですよ。でもちょっとリズムに乗りきれない。読むのに時間がかかりました。
話は面白い。いろいろな鳥がでてきて。ちょっと飼ってみたくもなりました。
お話が全体的に悲しい感じがします。鳥って一口に言っても、いろんな種類に飼う人の事情もあって、面白い。馬琴先生も出てくるし。鳥を知らなくても楽しめるお話でした。
反社会品 久坂部羊 [本 作者か行]
老乱 久坂部羊 [本 作者か行]
自分では大丈夫だと思っているが、本当はすこしばかり恐ろしい。確実に老いていることが。迷惑をかけないように。それだけを思いながらも自分がままならなくなる恐怖。
離れて暮らす親。認知症を発症すればどうすればいいのか?自分たちの暮らしも守りたい。けれど事故や事件を起こされれたらどうしたらいいのか。
認知症、いや、老いを巡って引き起こされるトラブル。
どんな風に
すればお互いが幸せになれるのか。すれ違う思いやり。いつか歯車が噛み合うように笑って暮らせるようになるのだろうか?
怖い。自分の身に置き換えると本当に怖い。認知症になるというのは本当に怖い。
今でもドキドキしながら暮らしています。でも、とにかく悔いのないようにしなきゃいけないということだけはわかる。
お互いに辛くなるには、苦しいな。読み進めるのは苦痛です。でも読んでいく。他人事では無いから。心を強くもって読んでほしい。両方がわかると、つらいんだな。
よこまち余話 木内昇 [本 作者か行]
お屋敷裏の長屋にいる駒江はお針子をしている。静かに仕事をしているが、そこにトメさんが居座り、糸屋が御用聞きに入り、近所の浩三が入り浸る。
気持ちのよい住みかなのだ。けれど駒江は不思議な依頼を受けたりする。糸の色に凝り、姿に凝り仕上げていく。時にはそのままにしているものも。じかんの流れが違う部分がある。それが誰の性なのかはわからないが。この長屋には過去といまが混ざり合い、干渉しあっているのだ。
ああ、不思議なお話。すごく好きです。静かででも動きがあって。心がザワザワとする。オススメです。優しくて悲しくて。現実ともう一つ違う次元が重なり合ったり。それでも一つの世界なんです。
冥談 京極夏彦 [本 作者か行]
王の庭(上)(下) かまたきみこ [本 作者か行]
雅楽の才を持った蘇芳は舞を舞ったり楽を奏でたりする度に、妖しいものを引き寄せ、弾き天気までも変えてしまう。
そしてその不思議な力は時を超え交通事故にあった日向加陵の心を引き寄せる。そして「王の庭」で出会い心を通わす。
妖、呪詛、怨念、楽への憧憬。色々なものが混ざり合った世界で楽を中心にまわりはじめる。
楽の妖しや、呪物もなんだかかわいい。龍笛が吹いてみたくなりました。吹けないけど。雅楽や舞をもっと見てみたいとも思いました。
お話はけっこう面白いです。蘇芳を軸にして面目のために呪をかけられたり、事件が起きたり。でも最後はちょっと悲しい気もするけど、何処かでずっと楽を奏しているんだろうな。
もう一度会いたい 小杉健治 [本 作者か行]
アルツハイマーで自分の脳細胞が壊れていく恐怖。その中で憶えているのは結婚まで約束をした女性。しかし自分はその女性を裏切った。心残りはもう一度会って謝りたいということ。
一方引きこもりだった悟史は人と接することが怖い。ある日夜中に外出した先で徘徊している老人に会った。彼は自分のことを誰かと間違っている。けれど、不思議と恐怖は無かった。悟史は彼と会って変わり始め、そして彼の願いを叶えたいと行動を起こす。
だがその女性は探し出せるのだろうか?手がかりは祭の記憶。それを探っていくうちに思いがけない真実を見つけだしていく。
いやあ、面白い。ドンドン読み進めます。アルツハイマーの悲しさとかも。記憶は残したい、けれど病は否応なく進む。主人公の悟史がドンドン外に出ていくのはちょっと違和感もあるけど、勢いがついたんだろうな。家族もこれまでとは違う在り方にあっていく。オススメです。ちょっと悲しいけど、読み終えた後はホッとします。
ダンジョン飯6 久井諒子 [本 作者か行]
ダンジョンの中で食べる飯。ダンジョンの中の生き物を食べる飯。ダンジョンで仲間と食べる飯。全てダンジョン飯である。
黒魔術で蘇ったファリン。けれど狂乱の魔術師に魔物にもどされてしまう。頭にあるのはデルガル様を捜すこと。そのファリンをライオスたちは捜す。そこにファリンに惚れていた四郎が加わった。けれどやったことを教えたれた四郎はライオスたちと対立するようになり。けれど、対立しきれないうちに圧倒的な姿でファリンが現れる。どうするライオス。
いやあ、こんな展開になるとは。引っ張るねえ。でも、最初ほどダンジョンの中のものを食べてない。食べる話ではなくなっているから。ちょっと残念。でも話は面白い。次の巻が待ち遠しい。これからまた何を食してくれるんだろう。
心霊特捜 今野敏 [本 作者か行]
神奈川県警R特捜班。別名「心霊特捜班」。霊が絡むかも知れない事件、事故を特別に捜査する班だ。
けれど、班の人数は5人。そのうち霊能者は3人。岩切大悟は連絡係として班に所属しているが、霊感も無い。けれどたまに舞い込む話にびくびくしながらもついていく。
連絡係だから仕方ない。けれど霊能者の話はイマイチ分からなくて。困る。
軽い感じのお話です。心霊特捜となっているけど、そんなに深刻な心霊話でもなく、面白く読めます。心霊と名付けているけど人間関係のお話ですね。
そんなオドロオドロしくないので、怖いの苦手な人でも全然大丈夫。推理に心霊がちょっと絡むくらいです。