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おしまいの日  新井素子 [本 作者あ行]


おしまいの日 (中公文庫)

おしまいの日 (中公文庫)

  • 作者: 新井 素子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/06/23
  • メディア: 文庫


だいじな人がいる。この人さえいれば他は何もいらない。そんな風に思えるくらいの人。
だからその人を大事にしたい。わたしの事よりも、誰の事よりも。
まるで恋は盲目。いや、実際付き合って間もなかったり、片思いをしている間って盲目なんだと思う。けれどそれが結婚してからもづっと続くかと言われれば、どうかな?と思う。
やっぱり、自分のことだってしたくなるし。大事なのには変わりないけれど優先順はちょっとずつ下がるんじゃないだろうか?
三津子は旦那さまである忠春のことがなによりも大事。だから完璧な妻でありたいと思っている。
けれど、当の忠春は仕事が忙しくて家に帰るのも遅い。休みもない。そんな忠春を三津子は心配する。その心配の仕方が問題なのだ。何か行動を起こすというわけでもないのだが、その感情の行きつく先が怖いのだ。
「おしまいの日」
その日に向かって三津子は追い込まれていく。
日本が本当に忙しかったころ。いや、今でも忙しい人は忙しいけれど。ちょっと違った方面に心配が走ってしまった。なんとなくわかる。この三津子。人付き合いがあまり得意でないと家に引きこもってしまうもの。そしてそのはけ口となるべき人がいて、それが幸せだと思い込んでしまえば。
どこかにわかっている自分もいるけれど。難しいね。
怖い。おしまいの日に近づいていくのが怖い。思っている展開になるとすれば、すごく怖い。
けれどそうなるかならないかは、読んでみてほしい。
オススメします。

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