額を紡ぐひと 谷瑞恵 [本 作者た行]
夏樹は額装師だ。彼女のつくる額は不思議で捕らえ所のないものを額装していく。
一見、額になどできそにないものを額にしてくれという依頼が舞い込む。
そしてそれに応えるために依頼の裏側まで手を入れ形に仕上げていく。
枯れた宿り木、鳥の声、毛糸玉。けれど本当に知りたいこと、額装したいことは別にあって。
恋人への思い、友人への思い、母親への思い。いつか額に入れて一区切りをつけることはできるのだろうか。
ほんわかした話しかなと思ったのですが、いやいやこれがちょっと悲しいというか、寂しい話。私は青い色を思い浮かべます。作中で出てくる川だったり、なんだかガラスの向こう側というか、氷の奥のような。
でも、区切りをつけて前に進める。前を向ける本だと思います。